約30年間、琴の世界にどっぷり浸かってきた私が、琴教室の選び方をご紹介します。琴教室の体験に行った時に、絶対に聞いておくべきこともお伝えします。1人でも多くの方が楽しく長く琴を続けられますように。願いを込めて。
曲目
琴教室に通うにあたって、真っ先に気になるのが、「どんな曲を弾くことが出来るの?」ということですよね。
すごく大事なポイントです!
絶対に体験で聞いてくださいね。
家元の曲
琴の世界では、所属する会派の家元が作曲した曲を弾くということが基本です。一般的に、他の会派の曲を教えてもらうことはできません。つまり、琴教室を選ぶ際には、その会の家元の曲を聴くことが手っ取り早い方法です。演奏会や、YouTube等で曲を聴き、「この曲を弾きたい」と思えば、その会派の教室を探せばいいのです。曲を聞けば分かりますが、古典的な曲を弾く会派もあれば、現代的な曲を弾く会派もあります。
「地歌が好きではないのに、地歌しか教えてもらえなかった」といったことをよく耳にします。地歌は、琴を弾きながら歌を歌います。弾く音と、歌う音が違うため、1曲を習得するまでにはかなりの時間を要します。決して、地歌を否定しているわけではありません。地歌には地歌の魅力があります。
ただ、ロックが好きな人もいれば、バラードが好きな人もいるように、音楽には好みがあるわけです。
私は、好きな曲を弾くことが上達に繋がる1番の早道だと思っています。だからこそ、皆さんには自分の好きな曲を弾くことが出来る教室を選んでいただきたいのです。
一方で、最近では、家元の書いた曲に限らず、いろいろな会派の曲や、J-POPなどを弾くことが出来る新しい教室もあります。いろいろな曲を弾きたいと思われている方にはこのような教室がおすすめです。
是非、どのような曲を弾くことが出来るのかをポイントに琴教室を選んでみてくださいね。
免状制度
琴をはじめとした伝統芸能の世界には、免状という制度があります。ピアノ教室は誰でも資格無くピアノを教えられますが、琴教室はそういうわけではありません。師範等の免状を持っていない人は、報酬をもらって、琴を教えることは出来ません。
免状のランク
免状にはランクがあります。
免状のランクは会派によって、呼び方が異なりますが、初伝、中伝、奥伝、皆伝(準師範補)、助教(準師範)、教師(師範補)、師範、大師範等、8ランク以上あります。
免状料
ランクごとに免状料金が必要で、会派によって金額は異なりますが、初伝は5万円程度と安価で、ランクが上がるほど高額になり、師範になると30万円〜50万円となります。また、琴の師範になるためには三味線の免状(皆伝以上)も必要となるため、三味線の免状料もかかります。
免状料以外の費用としては、名取というお名前をいただくための費用、講習の受講料、受験料、先生へのお礼等があります。
初伝から師範までの総額としては、150万円〜200万円となります。
ただ琴を趣味として楽しく弾きたかっただけなのに、免状の取得が必須で、決められた課題曲だけを弾くことになり、さらに免状に関する費用が総額150万円以上となれば、落胆しますよね。
体験時には必ず免状の取得が必須かどうかを確認してくださいね。
一方で、琴を習い始めたばかりの頃は免状に興味がなくても、習っているうちに、琴の魅力にハマり、免状がほしいと心変わりすることもあると思います。
免状を取得することも出来るし、取得しなくてもよいという教室を選ぶことをお勧めします。
演奏会への参加
琴教室に限ったことではありませんが、演奏会の参加が必須な音楽教室ってありますよね。もちろん、演奏会が好きなのであれば良いのですが、人前で演奏することが嫌いな人もいます。嫌いな人は参加を強制されたくないですよね。
演奏会の参加が必須である場合、仮に演奏会の参加を断ることが出来たとしても、演奏会の費用負担を求められることがあります。
演奏会参加費
参加費は規模によって違いますが、5千円〜2万円程度です。
チケット代
参加費以外に演奏会のチケットを買い取りすることも一般的なことです。例えば、2,000円のチケットを10枚〜20枚。友達や知り合いにチケットを買ってくれる人がいればいいのですが、なかなか友達や知り合いに「琴の演奏会のチケットを買ってください」とは言えず、自分で買い取り、無料でチケットを差し上げることが多いです。こうなると、参加費以外にチケット代2〜4万円が参加者の負担となります。
衣装
演奏会では、全員同じ衣装を着ることが多いです。同じ衣装で、手や体の動きも同じで、音も揃っていれば、圧巻の演奏会となります。
白のブラウスと、黒のロングスカートの指定で、自分が持っている服を代用すればいいという教室もあります。
ただ、一般的には、着物や袴、ドレスをオリジナルで製作して、全員分用意する会が多いです。名取になれば、名取ということが分かるように違う色を着る教室もあるようです。また、弾く曲によって、衣装を変えることもあります。この曲は海の曲だから青のドレス等。その場合、複数の曲を弾く人は、複数の衣装を用意することになります。もちろん、衣装代は全て参加者負担となります。
先生へのお礼
先生へのお礼代を参加者で割り勘することも多いです。参加者の人数にもよると思いますが、1人数千円の負担となります。
このようなことを念頭に置いて、体験時には、演奏会の参加が必須か、また参加費や、チケット代等の負担額についても確認しておくといいですね。
まとめ
いかがでしたか?
琴をはじめとした伝統芸能の世界には、インターネットには公開されていないことがたくさんあります。様々な情報を知った上で、琴教室を選ぶことが出来れば良いのですが、入会時には知らされず、しばらく経ってから、先生や周りの方から聞くことが多いです。その時になって、「やっぱり辞めたい」と後悔することがないように、慎重に琴教室を選んでいただきたいです。
自分に合った教室を見つけられるように、少しでもこの情報が皆さんの役に立ってもらえたら嬉しいです。